日本教育工学会論文誌
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論文
学習観と学習方略の相互形成モデルの検証
赤松 大輔
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2017 年 41 巻 1 号 p. 29-40

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抄録

本研究では,大学新入生の学習観の規定要因が何であるか,学習観と学習方略の間に相互的な規定関係があるかについて,学習方略の過去の使用,学習方略に対する有効性の認知,達成目標といった要因を取り上げて検討した.4月(T1)と7月(T2)の2度にわたり調査を行い,T1では大学1年生791名,T2では大学1年生351名を対象とした.まず,現在の学習観が規定されるプロセスを明らかにするために,過去の学習方略使用と現在の学習観の間に現在の有効性の認知を媒介したモデルを構築し,パス解析を行った.その結果,T1とT2の両時点で,達成目標とともに,学習方略が学習観を規定していることが明らかになった.次に,2時点のデータを統合し,パス解析を行った.その結果,伝統志向は反復作業方略と,活用志向は深い処理方略および音声記憶方略と関連し合うように,学習観と学習方略の間には有効性の認知を介して相互に規定し合う関連があることが明らかになった.

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© 2017 日本教育工学会
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