日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-50S
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ポスターセッション
マウス食餌性非アルコール性脂肪肝炎(NASH)モデルの線維化におけるSox9の関与に関する研究
*中根 冴煙山 紀子阿部 有加里結城 恵美宇野 絹子小川 秀治佐野 龍平渡辺 厚高須 伸二梅村 隆志美谷島 克宏中江 大
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抄録

【背景・目的】細胆管に類似した胆管の増生である細胆管反応は肝臓の線維化を誘導する可能性を示唆されているが、線維化が細胆管反応の原因か結果か、もしくはその両者であるのかは未だ明らかになっていない。本研究は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に着目し、その部分症である線維化が細胆管反応によって誘導されるかどうかを明らかにすることを目的とし、細胆管で発現が明らかとなっているSRY-box9(Sox9)をマーカーとして、NASH動物モデルにおけるその発現の経時的変化を解析した。

【方法】実験は、6週齢のC57/BL6J系雄性マウスに基礎食(脂質13 kcal%、メチオニン0.44%)・コリン欠乏メチオニン低減高脂肪アミノ酸食(CDAHFD)Met 0.1%(脂質45 kcal%、メチオニン0.1%)を3・7・14日間投与した群と、基礎食・CDAHFD Met 0.1%・CDAHFD Met 0.6%(脂質45 kcal%、メチオニン0.6%)を13週間投与した群から採取した肝臓について、Sox9の発現を病理組織学的検査および遺伝子発現解析にて調査した。

【結果】CDAHFD Met 0.1%の3・7日間投与群の肝では、脂肪化を観察したが、線維化がなく、胆管上皮以外でのSox9の発現も認めなかった。14日間投与群では、脂肪化が著明で、軽度の線維化および胆管上皮以外でのSox9の発現を認めた。13週間投与群では、線維化の進行と、Sox9の顕著かつびまん性の発現を認めた。一方、CDAHFD Met 0.6 %群の肝では、脂肪化とSox9の軽微な発現を観察したが、線維化を認めなかった。Sox9の遺伝子発現は、CDAHFD Met 0.1%の13週間投与群で上昇した。

【結論】Sox9は、肝に明らかな線維化が起こる前に発現細胞が増加したことから、NASH線維化の結果でなく、その発生前あるいは発生と同時に発現し、線維化の発生・進展に関与する可能性が示唆された。

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