日本小児血液学会雑誌
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特異抗原に対する自己抗体を証明した自己免疫性好中球減少症と血小板減少性紫斑病の合併例
久保田 優神田 健志宇佐美 郁哉
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2005 年 19 巻 4 号 p. 232-235

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抄録

自己免疫性好中球減少症と血小板減少性紫斑病を合併した報告例において, 特異抗原に対する自己抗体を証明しえた例はまれである.今回われわれは, 6カ月女児の両者合併例において, その急性期に好中球NAI抗原と血小板GPIIb/IIIa, GPIb/IX抗原に対する自己抗体を証明した.パルボウイルスB19, サイトメガロウイルス, Epstein-Barrウイルスなどのウイルス学的検索はすべて陰性であった.ガンマグロブリンlg/kgを投与し, 血小板は徐々に増加傾向を示し, 3カ月で正常化した.好中球はガンマグロブリン治療に不応性であったが, ST合剤の予防投薬で重篤な感染症に罹患することなく, 5カ月で好中球数は500/μlを超えた.本邦における自己免疫性血球減少症の検索から, 本症の発症は1歳前後と10歳以降の2っの年齢ピークが存在し, 後者は何らかの基礎疾患を有する傾向があることが判明した.

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