日本小児血液学会雑誌
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自家骨髄移植後にリステリア髄膜炎を発症した神経芽腫の1例
島田 俊明麦島 秀雄陳 基明藤沢 孝人原田 研介
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1996 年 10 巻 2 号 p. 132-135

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抄録

自家骨髄移植後に発症したリステリア髄膜炎の1例を報告した.症例は5歳の男児.左副腎原発のstage IVA神経芽腫で自家骨髄移植を行った.移植後70日目より39℃台の発熱, 頭痛を認め, 項部硬直がみられた.髄液検査では細胞数799/μ1 (M : P=495 : 104), 蛋白138mg/dl, 糖21mg/dl, クロール121mEq/lであり, 髄液培養よりListeria monocytogenesが検出された.ABPC 400mg/kgの投与を行い, 治療開始後11日目には血清CRPは陰性化し, 髄液所見も改善を認めた.ABPCはその後3週間投与し, 後遺症を認めず治癒した.便培養からも同菌が検出されたことからチーズを摂取したことによる消化管からの感染が考えられた.リステリア髄膜炎は骨髄移植後の免疫不全状態にある患児において, 注意すべき合併症の1つと考えられた.

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