基本周期500msecでの期外刺激法により順行性あるいは逆行性の副伝導路有効不応期が測定できたWPW症候群156例(顕性持続性群106例,顕性間欠性群24例,潜在性群26例)を対象に,副伝導路の有効不応期と年齢との関係について検討した.平均年齢は顕性持続性群,顕性間欠性群,潜在性群の順に高くなり,顕性持続性群では年齢に伴って順行性副伝導路有効不応期は延長しており(r=0.202,p<0.05),副伝導路の順伝導能は加齢に伴って低下することが示唆された.しかし,逆行性副伝導路有効不応期と年齢との間には有意な関係は認められなかった.以上の結果は,房室結節や心房内伝導時間の変化を除いで,加齢に伴う副伝導路の不応期の変化だけからみると,年齢が増すほど房室回帰性頻拍を生じやすい条件を備えると考えられた.発作性心房細動の既往のある例はない例に比べて年齢は高かったが,順行性副伝導路有効不応期は短く,40歳以上の11例のうち4例(36.4%)で250msec以下であり,年齢が増しても若年者と同様の著しい頻拍を呈し得ることを示す結果であった.