Skin Cancer
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一般演題
シクロスポリンにより顕在化したセザリー症候群の1例
岩田 洋平小寺 雅也臼田 俊和豊田 徳子大城 宏治山岡 俊文村上 榮西村 景子松永 佳世子
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2011 年 26 巻 3 号 p. 316-322

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抄録

 66歳,女性。2007年頃より近医で慢性湿疹として加療を続けるも難治であったため,2010年8月からシクロスポリンを開始された。内服開始約2ヵ月後に,皮疹の増悪を主訴に当科を受診した。皮膚生検では表皮内にCD4陽性異型リンパ球の密な浸潤を認め,末梢血にも異型リンパ球を認めた。Southern blot法を用いてTCR遺伝子再構成を検索したところ,cβ1遺伝子の再構成バンドが検出された。シクロスポリンを中止したところ,血液中のリンパ球数は減少したものの,皮疹は改善せず紅皮症の状態となりSézary症候群と診断した。シクロスポリン投与前の病理組織所見を再検討したところ,少数ではあるがリンパ球の表皮内浸潤像を認めたことから,シクロスポリンによりSézary症候群が顕在化した可能性が高いと考えた。シクロスポリンを開始する際には適応を慎重に検討する必要があると考えた。

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© 2011 日本皮膚悪性腫瘍学会
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