2014 年 87 巻 10 号 p. 345-351
スピンコートによってポリアミド樹脂被覆水晶発振子センサーセル(PA6/QC)を作製し,水晶発振子マイクロバランス(QCM)を用いてPA6/QCへの6-[[3-(triethoxysilyl)propyl]amino]-1,3,5-triazine-2,4-dithiol mono sodium(TES)の吸着挙動に及ぼすTESの濃度,Buffer溶液のpHの影響を検討した。そして局所熱分析によってPA6表面に形成したTES被膜の転移温度について検討した。TESの分子構造は計算から高さ1.2 nm,幅0.8 nm,厚さ0.6 nmとなり,TES一個当たりの占有面積は4.8×10−13 mm2となった。QCMの結果から0.1 M TES水溶液でBuffer溶液pH 3のとき1649 ng/cm2となりTES吸着量が最大となった。局所熱分析によってPA6表面に吸着したTESがプローブの昇温によって100℃付近でシラノールが脱水縮合してシロキサン結合を形成することで,TESシロキサン被膜の熱安定性が230℃であることがわかった。