2011 年 29 巻 1 号 p. 64-71
異常運動(abnormal movement:AM)が頻発するものの、背景脳波活動が著しく抑制され、てんかん性脳波異常を認めない重症心身障害児(重症児)の1例を対象に24時間ビデオ脈拍数(pulse rate:PR)記録を行った。頻脈とPR較差から求めたPR増加区間のビデオを観察し、AMの内容や頻度を分析した。3回のビデオPR記録を分析して、抗てんかん剤(antiepileptic drugs;AED)((ゾニサミド(ZNS)クロバザム(CLB))の効果判定を行った。ZNSとCLBの投与により、上肢伸展や泣きなどが減少もしくは消失したことから、これらのAMがてんかんであると診断した。てんかん性脳波異常を認めない重症児のAMでは、抗てんかん剤による治療的診断の適応となることも少なくない。適切なAMの評価が必要であり、ビデオPR記録は有用と考える。