日本小児アレルギー学会誌
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喘息治療・管理ガイドライン委員会報告
CQ6 小児気管支喘息患者において, 急性増悪時にβ2刺激薬をスペーサーを用いてpMDIで反復吸入することはβ2刺激薬吸入液を用いた電動式ネブライザーでの反復吸入と比較しより有用か?
杉本 真弓鈴木 修一夏目 統荒川 浩一
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2017 年 31 巻 3 号 p. 326-335

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抄録

 【背景】気管支喘息急性増悪時におけるネブライザーと比較したスペーサーでの加圧噴霧式定量吸入器 (pMDI) による短時間作用性β2刺激薬 (SABA) 吸入の有用性についてシステマティックレビュー (SR) を施行し, そのエビデンスを評価した.

 【方法】20歳未満の喘息患者の急性増悪に対し, 医療機関でSABA吸入をスペーサーを用いてpMDIで実施した群とネブライザーで実施した群を比較した無作為化比較試験 (RCT) を抽出した. 複数回吸入後の入院率を主要評価項目とした.

 【結果】先行文献より30文献26RCTを抽出した. 追加検索で抽出されたRCTはなかった. 主要評価項目について9RCT (363名) で解析した結果, ネブライザー群に対するスペーサー群の入院リスク比は0.71, 95%信頼区間0.47~1.08, p=0.11だった. また, 外来滞在時間はスペーサー群で有意に短く, 脈拍数増加率や振戦の頻度はスペーサー群で有意に低かった.

 【結論】スペーサーを用いたpMDIによるSABA反復吸入の効果はネブライザーと差がないことが示唆された. しかし, 採用したRCTにおけるSABAの吸入量はわが国の常用量よりも多く, わが国での検討を要する.

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© 2017 日本小児アレルギー学会
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