日本気管食道科学会会報
Online ISSN : 1880-6848
Print ISSN : 0029-0645
ISSN-L : 0029-0645
症例報告
酢酸オクトレオチド投与,OK-432の胸腔内注入にて治癒した食道癌術後遅発性乳糜胸の1例
立花 慎吾逢坂 由昭星野 澄人山崎 真澄高木 融土田 明彦青木 達哉
著者情報
ジャーナル 認証あり

2006 年 57 巻 1 号 p. 35-39

詳細
抄録

食道癌術後の遅発性乳糜胸に対し,酢酸オクトレオチド投与およびOK-432胸腔内注入が奏効した症例を経験したので報告する。症例は54歳,男性。平成16年9月に進行食道癌C-T3N2 (#7) M0 stage IIIの診断にて術前化学放射線療法施行した。効果判定PRにて,12月右開胸胸部食道全摘,3領域リンパ節郭清術施行した。術後経過良好にて第32病日退院となった。術後第53病日に外来で両側胸水を認め,胸腔穿刺したところ右側から1,800 mlの乳糜胸水を認め,ただちに再入院となった。また左側からもほぼ漿液性の胸水を1,200 ml認めた。禁飲食とし右側胸腔ドレーン挿入し同時に酢酸オクトレオチドを連日投与した。これにより排液量の減少を認めたため,その後OK-432 10KEを胸腔内に注入し,胸腔ドレーン抜去可能となり退院となった。酢酸オクトレオチド投与は乳糜胸に対し効果の高い治療法のひとつであると考えられた。

著者関連情報
© 2006 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top