口腔・咽頭科
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総 説
神経・筋疾患における摂食・嚥下障害
肥後 隆三郎
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2011 年 24 巻 1 号 p. 17-20

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抄録

日常診療において耳鼻咽喉科へ摂食・嚥下機能の評価を依頼されるなかで, 神経・筋疾患については疾患の難しさを背景に対応に困っている先生方も多いと思われる. 神経・筋疾患にみられる摂食・嚥下障害では, 疾患に特異的な病態および病期による嚥下障害の程度に異なりがあり, 病状に則した適切なアプローチが必要である. 今回のセミナーでは日常診療で出会う頻度の高い神経・筋疾患を中心にその嚥下障害の特徴について, 我々のデータと文献的考察をあわせ解説を加えた. 具体的には 1. パーキンソン病と類縁疾患, 2. 筋萎縮性側索硬化症 (Amyotrophic lateral sclerosis: ALS), 3. 重症筋無力症 (Myastyenia gravis: MG) の3疾患である. パーキンソン病と類縁疾患の項ではパーキンソン病と我々が豊富にデータを持っている多系統萎縮症をとりあげた. ALSの項ではVFの所見と嚥下圧の経時的変化, ならびにHillelらのALS重症度スケールに基づいた検討を加えている. MGの項ではVFの所見と不顕性誤嚥との相関を述べた. 以上を日常診療の参考として頂ければ幸いである.

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© 2011 日本口腔・咽頭科学会
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