The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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二重盲検法によるPipemidic acidとPiromidic acidの急性下部尿路感染症に対する比較臨床試験
石神 襄次三田 俊彦片岡 頌雄宮崎 重金田 州弘大西 真尚古川 玄教黒田 守広岡 九兵衛末光 浩富岡 収寺杣 一徳大野 三太郎林 法信原 信二斎藤 博伊藤 登黒田 清輝日根野 卓田中 邦彦上原口 弘森脇 宏彦坂 幸治安室 朝三
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1976 年 29 巻 2 号 p. 167-177

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抄録

Pipemidic acid (以下PPAと略) 1) は大日本製薬総合研究所において新らしく開発された抗菌性化学物質である。本剤は, 図1のような構造をもつPyridopyrimidine誘導体の1っであり, 現在すでに尿路感染症治療剤として広く使用されているPiromidicacid (以下PAと略) 2, 3) およびNalidixic acid (以下NAと略) と類似しているが, これらの薬剤にくらべ, いくつかの特徴をもつとされている。本剤は, 抗菌作用の面で緑膿菌や変形菌にも有効であり, PAおよびNA耐性菌にも抗菌力をもち, 動物実験におけるグラム陰性菌感染症にすぐれた効果を示し, その作用はCephalexin, Ampicillin, Carbenicillinなどの抗生物質より強いといわれる4)。また, 本剤は, 経口投与によつて消化管からよく吸収され, 体内でほとんど代謝をうけることはなく, 大部分が主として尿中に排泄されるといわれている5)。
今回, われわれは本剤の尿路感染症に対する有効性, 安全性を評価する目的で, 類似薬剤でかつ現在広く臨床的に使用されているPAを対照薬剤として二重盲検法によつて, 両薬剤の治療効果, および副作用について比較検討した。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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