日本胸部疾患学会雑誌
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ヒト好中球由来 Defensins の Mycobacterium avium complex に対する抗菌活性
緒方 賢一古賀 俊彦
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1993 年 31 巻 5 号 p. 587-592

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抄録

ヒト好中球由来 defensins の Mycobacterium avium complex (MAC) に対する抗菌活性を検討した. MAC (2.5×106と2.5×108/ml) を defensins と37℃で4~48時間培養した. 培養後, 生菌数を colony-forming units (CFU) で測定した. ヒト defensins の1種類である Human neutrophil peptide-1 (HNP-1) は, 5μg/mlの濃度でMACに対する抗菌活性を示した. MACは pH 6-8で良く発育し, このpH下で defensin はMACを殺菌した. 次に8種類のMACに対するHNP-1の抗菌活性を調べた. その活性はMACの種類により差がみられたが (34.2~87.2%), HNP・1はすべてのMACに有効であった. 更にHNP-2とHNP-3のMACに対する抗菌活性を調べた. HNP-2とHNP-3は, いずれもHKNP-1と同程度の殺菌能を有した. これらの結果より, defensins はMACに対する生体防御機構において重要な役割を担っていることが示唆された.

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