1992 年 30 巻 10 号 p. 1788-1795
Indocyanine green (ICG) による肺血管床透過性評価の可能性を検討した. イヌに肺血管外水分量が約2倍になる透過亢進性肺水腫を作成し, 次にICG 50mg静注し肺動脈血中濃度の推移, 肺末梢組織濃度, 肺組織・動脈血濃度比 (ICG注入15分後の肺末梢組織濃度/ICG注入15分後の血清濃度), 肺湿乾重量を測定した. 肺動脈血中ICG濃度は注入2分後に最高値となり以後低下した. 肺水腫群は健常群より肺末梢組織濃度, 肺組織・動脈血濃度比, 肺湿・乾重量比が有意の高値を示した. 肺湿・乾重量比とICGの肺組織・動脈血濃度比は相関係数r-0.930 (p<0.01, 右肺), r=0.777 (p<0.01, 左肺) と有意の正相関関係を示した. 本実験で作成した程度の肺水腫では肺血管の透過性亢進とともに肺湿・乾重量比が増加するので, ICGの肺組織・動脈血濃度比と肺湿・乾重量比が正の相関関係にあったことはICGによる肺血管床透過性評価は可能であると考えられる.