Japanese Journal of Endourology
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特集2:小児尿路結石─どうやって治療しますか?
小児腎結石に対する経皮・経尿道同時内視鏡手術 : PCNL+TUL (ECIRS)
濵本 周造杉野 輝明海野 怜田口 和己安藤 亮介岡田 淳志安井 孝周
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2017 年 30 巻 2 号 p. 159-164

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抄録

 小児腎結石に対する外科的治療では, 治療成績の向上はもとより, 手術侵襲を軽減し, 将来的な腎機能低下のリスクを回避することが重要である. ESWLやTULは低侵襲であるが, 大きな腎結石に対しては, 複数回の治療が必要なことや, 細かな残石片で再発リスクが高くなる欠点がある. 一方, PCNLは, 効率的な治療である反面, 輸血を要する出血や発熱などの合併症が問題となる. 術中・術後の合併症が, 長期経過観察における腎機能低下と関連すると報告されており, より確実で, 低侵襲の治療が求められる.

 私たちは, 以前より成人の巨大腎結石に対する軟性尿管鏡と細径腎盂鏡を併用した治療 (ECIRS) の有用性を報告してきた. 今回その経験をもとに, 小児の大きな腎結石に対する内視鏡治療の取り組みを説明する. 手術は開脚腹臥位で行う. あらかじめpre-stentingしておいた尿管ステントを9.5/11Fの尿管アクセスシースに入れかえ, 7.5F軟性尿管鏡で穿刺を目的とする腎杯を観察しながら, 別の術者が超音波ガイド下による腎穿刺を行う. 腎乳頭部への穿刺が行えていることを確認し, 18F細径トラクトをone-stepにて挿入する. 軟性尿管鏡からはホルミウムヤグレーザーを, 硬性腎盂鏡からは空気圧式砕石装置を用いて, 双方から腎結石を破砕する. すべての砕石片を回収し, 16F腎瘻を留置し手術終了する. 本術式の利点は, 1) 軟性尿管鏡補助下での腎穿刺による確実なトラクト挿入, 2) 細径トラクトによる出血リスクの軽減, 3) PCNL単独治療では到達困難な腎杯内結石の砕石が可能なこと, である. 本稿では, 小児腎結石に対する腎機能に留意した低侵襲かつ効率的治療を行う工夫について概説する.

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© 2017 日本泌尿器内視鏡学会
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