2006 年 26 巻 3 号 p. 437-441
症例は70歳・男性で, 膵頭部癌のため膵頭十二指腸切除術およびII A法 (膵液完全ドレナージ法) 再建術を施行した. 第3病日, 排ガスがあり経口摂取を開始し経過は比較的良好であった. 第9病日夜半, 突然Retrograde transhepatic biliary drainage (RTBD) チューブからの排液が血性となり, 吐血後にショック状態となった. 胆道出血か膵断端からの出血が考えられたため, 2度にわたり緊急血管造影検査を施行したが出血部位を確認できなかった. ショックから離脱できないまま緊急開腹術に移行した. Retrograde transhepaticpancreatic duct drainage (RTPD) チューブに沿って持続的に拍動性出血が認められたことから, RTPDに起因する胆道動脈性出面と診断した. RTPDチューブを膵管内より抜去し, ガイドワイヤー誘導下に14Fr. の太径カテーテルに入れ替え止血することができた. 再手術後第29病日にカテーテルを抜去した. その後は再出血もなく経過した. Computed tomography検査で肝動脈・門脈シャント様の所見が認められたが, 動脈瘤の形成はなく, 初回手術後第91病日に退院した.