日本生気象学会雑誌
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総説
飼育動物の健康と福祉―福祉指針,育種に起因する健康問題,および感染症―
竹村 勇司
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2015 年 52 巻 1 号 p. 3-15

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抄録

20 世紀中期から集約的畜産業が急速に発達すると,農用動物の福祉問題が関心を集め,「5 つの自由」と呼ばれる福祉指針が動物行動学や生理学の研究成果を踏まえて確立された.「5 つの自由」は現在,農用動物に限らず愛玩・伴侶動物,実験動物,さらに動物園等の展示動物といった人の管理下にある飼育動物一般に共通の福祉指針として国際的に普及している.本総説では,初めに「5 つの自由」の成立ならびに普及の経緯を述べ,次いで動物の家畜化に際して行われる繁殖管理ならびに育種に起因する動物の健康問題について述べた.最後に,近年グローバル化が進行する中で牛海綿状脳症,口蹄疫,高病原性鳥インフルエンザなどの悪性伝染病が日本で発生し,動物の健康のみならず,人の健康,畜産食品の安全性,および国民経済にとって大きな脅威となっていることを踏まえ,予防獣医学的観点からいくつかの重要な感染症について述べた.

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© 2015 日本生気象学会
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