2001 年 13 巻 1 号 p. 21-30
わが国の標準的高精度照射である原体照射は, ノンコプラナ照射である点で, 線量分布の集中性に鰻界がある. 筆者らは, ガントリをCアームで保持し, ガントリ回転の他, Cアームに沿った回転 (最大60度) を可能とする歳差集光照射機構に, Beam'seye-viewによるMLC連続的変化を組み合わせることにより, 歳差集光原体照射法を開発した. 仮想的ターゲットに対して, 本法と原体照射の線量分布をフィルム法などによって比較した. また, 実際の腫瘍に対する治療計画上の線量分布を, DVHを用いて評価した. また, 1次ビームが治療室全体に広く射出されることに対応して, 照射室に追加遮蔽を行い, 漏洩線量について実測した.この結果, 歳差集光原体照射法では, CT藤上での線量集中性が高まり, 頭尾方向の線量分布についても, ターゲット形状との相似を保っていたが, 実症例でのDVH上の優劣は明らかではなかった. 側壁に厚さ20cm, 天井に厚さ9cmの鉄板を, 数ヵ所に張り, 天井のコンクリートを70-140cm補強することで, 漏洩が問題と. ならないことを確認した. 歳差集光原体照射法は, 原体照射より優れた線量分布を提供する照射技法として期待される.